【読書感想】無限大ガール 森絵都

「自分がない」と言われて大好きなセンパイから振られた主人公(女子高生)が自分を見つけるまでの青春短編小説

無限大ガール (Kindle Single) Kindle版

中学の頃から憧れていたセンパイに「自分がない」という理由で大失恋した早奈。その虚しさを埋めるために運動部のハケン部員として毎日を過ごす中、演劇部から主役の代役の依頼が舞い込む。なんの考えもなく引き受けた劇の脚本・演出は早奈を振ったセンパイだった…

小説の中に「自分とは何か」というテーマがあると、暗かったり難しかったり話が長いものが多いけど、『無限大ガール』は読後がすっきり爽やかで胸がすく様な感じ。15分弱でこんな気分にしてくれるから凄い。

軽快なストーリーだけど一匙分のスパイスもある。短所は長所とよくいうもので、早奈は自分がないからセンパイに振られたけど自分がないゆえにセンパイを…というところが皮肉めいていて楽しいし、深読みしすぎると恐ろしいことになりそうな。メロンクリームソーダに乗ってる毒々しいまでに赤いさくらんぼのよう。あれがあるからメロンクリームソーダのヴィジュアルは完璧。

後を引き摺らないので、スキマ時間があるときに何を読もうか迷ったときに。「自分がない」と悩んでいる人がいたら、「すぐ読めるからとりあえず読んでみたら」と渡してあげたい。

森絵都『無限大ガール 』(Kindle Single) Kindle版

※ 『無限大ガール』は kindle(電子書籍)、Audible限定作品です(2020年5月時点)

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