小刻みに心揺さぶられるお話。『天上の飲み物』感想

電子書籍でしか買えない、三浦しをんの短編小説。

後藤次郎は、酒屋の二階に下宿する大学生(実は世を忍ぶ仮の姿)。近所に住む恋人の宮村有美と、休日に甲州ワインを飲みながら過ごすのを楽しみとしている。しかし有美は、このごろ会社でつらいことがあるようで……。
秘密を抱えて生きる次郎の、ユーモラスでちょっとせつない恋物語。

『天上の飲み物』あらすじ

この本の感想を…と思ってスマホを前にしたものの、何書いていいか分からないや(苦笑)

読んで面白かったけど、何が面白かったのか自分でもよく分からない。笑ったし哀しくなったり切ない気持ちを味わったけど、心を揺さぶられたけど、揺れの強さを例えるなら、震度3の地震くらいだから「感動しました!」と書くと大袈裟な感じがして書きづらい。主人公の後藤次郎が人間社会をぬるりと渡り歩いている人物(?)なので、作品全体がそうなのも仕方ないのかもしれないとちょっと思ったり。

主人公は四百年以上生きている吸血鬼。吸血鬼というと、生きるのが難しかったり、人間と寿命の違いで葛藤したり…という悩みのお話が多いけど、後藤次郎は夜型から朝型に体質改善(!)したり、十字架や銀製品やニンニクも克服している。ワインと料理を味わえるようになって血も飲まなくなった。人間との付き合いもある意味達観している。

ここまでくると怖いものなしのように見てるけど、この吸血鬼はまだ悩みを抱えて生きている。本人はそれを吸血鬼ゆえの悩みと思っているけれど、1周まわって普通の人間となんら変わりない悩みを抱えているように感じた。表現が吸血鬼的なだけで。

重い話は苦手だけど、ほろ苦く切ない気持ちを軽く味わいたいときにぴったり。

『天上の飲み物』作品情報

◆ 著者:三浦しをん
◆ 形式:Kindle版(電子書籍)
◆ 推定ページ数:24 ページ
◆ ASIN: B011B4XXMA
作品詳細はこちら

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